「東日本」で生まれ育った私が「西日本」に移住して気付いたこと
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移住を考え始めたときに「どこに住むか」を決断するのは最重要事項の一つ。国内と言えども地域が違えば文化も気候も気質も異なり、それらの要素は移住先選びに大きな影響を与えます。
移住は新しい土地での生活を始めるというだけでなく、そこでの文化や人間関係に適応することを意味します。特に、日常的なコミュニケーションや地域のルールといった小さな違いは、移住先選びの満足度を大きく左右します。
日本を地域で分ける際に、もっとも大きな単位となるのは「西日本」と「東日本」。「西日本では話にオチをつけなければいけない」「東日本の人は冷たい」といったイメージはそれぞれ日常のなかで話題にあがることもあるかと思います。
今回はこれまで長年東日本の地域を転々としてきた筆者が、地域的に境目となる静岡に住んでいたときの印象、初めて西日本の広島に移住する際のエピソードを交えて、実際に事前に抱いていた不安とどう向き合ったのか? またそれぞれの地域の魅力などをご紹介します。
文/宮本デン
静岡市は「東日本」、浜松市は「西日本」らしい印象
「西日本」と「東日本」のちょうど境目に位置する静岡県。県全体では「東日本」に属するはずの静岡県ですが、地理的には静岡を縦断する「糸魚川静岡構造線」が境目であるという見方もあるようです。
私が住んでいた浜松市は「糸魚川」の西側に位置していましたが、浜松で出会った人の気質、生活、地域行事...など、あらゆることが私がこれまでに漠然と抱いていた「西日本」のイメージと近いように感じました。
私が西日本に抱いていたイメージはおおまかに以下の通りです。
・話にオチをつけなければいけない
・多少荒っぽいまでにお祭りに全力
・困っていると助けてくれる人が多い
・最初からグイグイ来る
・地域ごとに細かい方言の違いがある
・台風や大雨の影響が大きい
これらを西日本出身の友人に話すと「それはほとんど大阪のイメージだよ!」と笑われました。
ですが実際浜松市で過ごすと「浜松まつり」は派手なラッパ音を鳴らして夜通し開催されていたし、道端で普通に声をかけてくるし、浜松を含めて一部の地域でしか使用されない遠州語の「だもんで」は使い勝手が良いし...台風などの影響が大きいことも含めて「西日本っぽい...!」と思うことが多かったです。
一方で静岡市に立ち寄った際は、街の静かさや周囲の人の控えめな気質などに「東日本」の雰囲気を感じ取り、長年東日本で過ごしてきた私にとって少しホッとする側面もありました。
同じ県でも「西日本」と「東日本」を感じることができ、どちらの良さも実感できた静岡県。人の温かさを重視するなら西日本、程よい距離感を求めるなら東日本なのだな、と静岡での生活を通して感じました。
東日本⇔西日本。地域をまたぐ移住のハードルの高さ
現在は広島県に住んでいる私ですが、直前に住んでいたのは東京都内でした。そこに至るまでにいくつか数回転居を繰り返しているとはいえ、どれも東日本の範囲内での話。先述のとおり、ギリギリ東日本の範囲内である浜松市が最西端の居住地でした。
しかし今回、パートナーが転職の関係で広島に移住することになりました。これまで住んだことも接点もない地域、しかも西日本ということで多少の不安を抱えておりましたが、特に地域にこだわりはなかったため、共に移住することにしました。
私が東日本から西日本へ移住する際に不安を抱えていた点と、それを乗り越えた方法をご紹介します。
距離を起因とした心理的ハードルの高さ
東日本⇔西日本というだけで、距離が遠いイメージがまず浮かびます。特に私の実家があるのは東北地方である岩手県なので、まずその距離の遠さが高い心理的ハードルとなりました。
しかし、広島について調べていくうちに空路や陸路が相当整備されていることがわかり、案外手軽に日本全国へ行くことが可能だと知りました。東京、大阪へはもちろんのこと、岩手に行く際にも陸路と空路を駆使すればそこまで無理をしない金額と旅程で移動が可能です。
それがわかった途端『国内であれば問題ない』という気持ちになり、距離に対する心理的なハードルを感じなくなりました。よく行く場所、行きたい場所があれば調べて交通手段を把握しておく、というのは不安を乗り越える大きな手掛かりとなりえます。
知り合いがいない土地へ移住する孤独への恐怖
私は広島県どころか、西日本そのものに接点がありません。出身は神奈川県・岩手県で、大学は東京都、就職は静岡県~東京都だったからです。
誰も知り合いがいない土地へ行く、というのは人との関わりが多くない私でも不安を抱える要素の一つです。
この不安にぶち当たった時、私はまずこれまでの交友関係を洗い出して、友達が今どこにいるのかを考え始めました。
すると、意外と西日本に就職した友達や、結婚を機に移住した友達がいるということを知ったのです。もちろん全員が広島に近い、というわけではないですが「同じ状況の人が身近にいて、それを乗り越えて今は暮らしている」と考えると少し勇気が湧いてきます。
また、誰も知り合いがいないということは、今後知り合える可能性がある人が無限にいるということにもなります。結局は考え方次第になるのですが、知り合いがいない土地での出会いを楽しみに思うようになると、知り合いがいないことへの心理的なハードルは下がっていくかと思います。
「西日本」でイメージされる気質に馴染めるか不安
先述した通りの「西日本」に対して抱いていた印象から、自分が馴染めるかな?といった不安は大きくありました。実はこれに関しては、移住してみるまで乗り越えることができなかったです。実際に住んでみての感想は、次項にてご紹介します。
また、友人や親姉妹に広島移住について話すとまず返ってきたのが「西日本!?」という反応だったのが印象深いです。しかし、どれも私が抱えていたようなこれらの不安を想起しての驚きの反応だったようなので、多くの人が共通して抱える不安なのだなと思います。地域をまたいで移住する際の参考となれば幸いです。
初めて西日本で暮らした実感。「グイグイ」も悪くない
実際に広島で暮らしてみると、確かに受け答えや所作に細やかな違いを感じることはあるものの、快適に生活を送れています。
地域密着型の飲食店やスーパーで知らない人に絡まれる確率は少し上がりましたが、よくよく話を聞いていると、どの方もお得な情報や地域の細やかな情報をシェアしてくれるような優しい方ばかりで「グイグイくる」のは、純粋な親切心の現れなのだなと感じました。
移住先では、外から見ているだけではわからないことが多々あります。ゴミの出し方からバスの乗り方、お祭りに関するローカルルールまでさまざまです。
一つひとつは細かいですが、どれもわからないと日常的に困ることばかり。そういったことに戸惑っていると、どこからか声をかけて助けてくれる「グイグイ」も悪くないなと思っています。
また、山陽地方の穏やかな気候や、瀬戸内海に面した風光明媚な景色は、東日本の太平洋で見る景色とは少し違う印象です。その違いを感じ取ることができただけでも、広島に引っ越してきてよかったと強く思います。
これまでの数回の移住経験を通して感じたのは、確かにそれぞれの地域にはある程度イメージ通りの気質や文化があるものの、それを楽しむことができるようにマインドを整えていくのが移住のコツだということです。
東日本の魅力
控えめな人間関係や四季の移ろいを楽しむ文化は、落ち着きや静かさ、安らぎを求める人向け。また、都市部の利便性やイベントの多さ、公共交通機関による交通の便の良さも魅力の一つ。
西日本の魅力
人々のフレンドリーな気質や、自然豊かな環境の中でのびのびとした暮らしを楽しみたい人向け。特に地域密着型の交流が盛んで、新しいつながりが生まれやすい点は大きな魅力。
「東日本」と「西日本」。どちらの気質が馴染むかは、結局のところ住む人の価値観や生活様式に起因するのだろうと思います。私は在宅で基本的に人とかかわらない生活をしているため、外で働くとなるとまた違った一面が見えてくるのだと思います。
文化、気候、気質...どれが自分にとって大事な要素となるのか。移住先を決める際の一つの指針として考えてみると、満足できる移住先選びができるかもしれません。これらの経験談が参考となれば幸いです。