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知らない土地へ移住するときに「不動産屋さんに確認したい」5つのこと

就職、進学、家庭の事情など、人生には思いがけない移住のタイミングが訪れるときがあります。そして移住先はまったく知らない土地で不安、なんてこともあるかと思います。

私はこれまで神奈川・岩手・東京・静岡と土地を転々として暮らしてきました。そして、この8月に東京から広島への移住をしたばかり。その時々でさまざまな理由で「知らない土地」への移住を繰り返してきた私ですが、その中で見出したのは「生活の根本的な部分はそこまで大きく変わらない」というもの。

もちろん地域によって風土も交通の便もまったく異なります。しかし、自分にとって生活の核となる部分さえしっかりと抑えておけば、どこでも無理なく順応できる、ということです。そしてもちろん、その生活の核にとって最も重要なのが”おうち選び”

 本記事ではこれまでさまざまな土地で暮らしてきた私が、実際に「知らない土地」に移住するときに不動産屋さんに必ず確認する「おうち選びで不動産屋さんに確認したい5つのこと」を体験談と共にご紹介します。移住前に十分にその地域の調査ができなかった...という場合の参考にしてみてください。

文/宮本デン

生活に不便がないか。スーパーの距離は大事

スーパー、ドラッグストア、銀行、コンビニ、病院...などなど、日常生活を送る上で必要な施設が行動範囲内にあるか、というのは非常に重要なポイントですよね。でも、毎日行くわけでもないし、あまり重要視しなくてもいいんじゃない?と思う方もいるかと思います。

私は基本的に毎日自炊をします。かといって毎日スーパーに行くわけではなく、一週間に一度の買い物で基本的な部分は済ませる、というルーティンを組んで生活しています。

自炊を本格的に始めた当初にこのルーティンを決めて「一週間に一度程度なら別にいいか」と思い、一番近いスーパーでも徒歩15分程度かかる場所に住むことにしました。しかし、これはあまりよい選択ではなかったのです。

なぜなら一週間に一度の買い物となると、その一度の買い物の重量がかなり大きくなってしまうからです。私は基本的に徒歩移動なので、真夏の暑い日に手や腕に食い込む買い物袋を抱えて汗だくになりながら15分歩くことになります。あまりに暑い日は、道中車の窓から「大丈夫?」なんて声をかけられることもしばしば...。



それに自炊が基本となると、料理を始める段階で買い忘れが発覚することも多くあります。自炊始めたての頃は「これがないと完成させられない!」とやる気を削がれてしまうことも多くありました。この経験以降は、ずっとスーパーに近い場所を死守するようにしています。買い忘れてもすぐに買いに行ける距離というのは、かなりストレスフリーです。

毎日じゃないから別にいいや、と決めてしまうと日常の中で痒いところに手が届かず、小さなストレスを積み上げてしまうことになります。ポストが近くにない、ATMが近くにない、日用品を買う場所が近くにない...こういった小さなストレスは「知らない土地」において生活を安定させるときの大きな障害になり得るのです。

一般的に「10分以内」にアクセスできる範囲内にある施設は、日常的に通っても苦にならないとされています。これは徒歩・車・自転車など、どの交通手段を利用した場合でも同じであるため「自分が何を中心として移動するか」を念頭に置いていくと、スムーズに確認が可能です。

車や自転車を利用する場合は、目当ての施設に駐車場・駐輪場があるかも事前にご確認ください。車を利用するからこの範囲でも問題ないかな、と決めても、実は近くに駐車場が無くて余計に体力を使う、なんてことにもなりかねません。

 治安に不安がないか。街灯の少ない場所に注意

初めての一人暮らし、特に女性の一人暮らしとなると、その土地の治安は気になりますよね。住む土地の治安ももちろん重要なのですが、見落としがちなのは「家と職場・学校を往復するときに通る土地の治安」です。

いくら悩みに悩んで治安のよい地域を選んでも、そこに至るまでの道中に危険と感じる場所があると、せっかくの苦労が水の泡になってしまいます。人通りの多い道を通れるか、街灯が極端に少ない場所がないか、歓楽街を通ることなく駅までたどり着けるか...など、毎日通る場所なのでしっかり確認しておきたいですよね。

都会から地方へ移住する際、意外と見落としがちなのが”街灯の少なさ”です。

夜でも明るい都会の感覚で地方の夜道を歩くと、あまりの暗さに驚くことも少なくないでしょう。地図にも載らないような細い道を通らないとたどり着けない家に内見に行ったときは「夜は街灯もなく暗くて狭いので、やめておいたほうがよいです。都会とは違いますから」と不動産屋さんからコッソリ言われてしまったこともあります。

地方は車中心の社会ということもあり、街灯の少なさ=治安の悪さでは決してありません。ですが「知らない土地」において暗い場所を車で通るのも怖いですし、できれば明るい道だけを通れるような場所に最初のうちは住むのがおすすめです。

逆に地方から都会へ移住する際に注意しておきたいのは”近づいてはいけない場所がそこそこある”ということです。首都圏から地方へ移住するとき、地方から首都圏へ移動するときのどちらの場合でも不動産屋さんから言われたのは「東京と比べたらどこでも治安いいですよ」ということでした。

不動産屋さんに聞けば「この辺は住むにはおすすめしません」ということは教えてくれますし、逆に危ないといわれる地域のなかでも「この辺はファミリー層が多いので大丈夫です」ということも教えてくれます。

しかしおすすめどころか「絶対に近づいてはいけない場所」というのも存在します。都内での引っ越しは何回か経験していますが、内見の際に「ここは通らないでください」と言われた回数は実は少なくないです。

私道だから、暗くて危ないから、不審者目撃情報が多いから...など理由はさまざまありますが、そういったことは事前に聞いておきたいですよね。

こういった「通ってはいけない道」「暗くなる場所」は内見の際に教えてもらうのが一番です。内見をする前に、そういった場所があれば教えてほしい旨を伝えておくと、生活を始めてからトラブルに巻き込まれないよう注意ができるかと思います。

毎日通う場所へのアクセス「バス停が近い」はかなり有効

「〇〇駅から徒歩10分」といった案内があると、その駅にアクセスしやすい路線が通る地域を基準に考えることになるかと思います。

もちろんそれも間違いではないのですが、駅近を考えるとどうしても値段が高くなり、予算をオーバーしてしまう、といった悩みもあるのではないでしょうか。そこで注目すべきが「バス」の存在です。

 私が都内で三回目に引っ越した際に住んでいた場所は、京急線が最寄りの路線でした。駅までは歩いて15分程度掛かる上に、京急からJRに乗り換えるには品川駅で少し歩かなければいけないため、余計に体力を使ってしまうことに悩んでいました。

しかし家の目の前にあるバス停を使えば、JR線が通っている駅まで10分掛からずに到着することができます。乗り換えを減らした上に、所要時間も減らすことができるため、そちらを主に利用するようになりました。

都内だと電車の交通網が発展しているため、なかなか利用しない方も多いのですが「バス停が近い」というのは実はかなり有用です。

都会であればそれこそ駅までのバスは数分おきに運行しているし、地方であればバスの交通網が張り巡らされているところも多いので、車がなくてもたいていの移動はなんとかなります。

私はいわゆる車社会と呼ばれる地方でも暮らしていましたが、そこでもバス停の近くに住むことで、車無しの生活でも不便なく過ごすことができました。

電車と違ってバスは地域密着型で運営している会社も多く、ネットで調べても正確な情報を得ることができないこともあるため、いちど不動産屋さんへ確認してみましょう。駅近よりも便利で、かつ安く住める選択肢が生まれるかもしれません。

また大きい社屋や校舎に通う環境だと、実はわざわざ公共交通機関や車を使うよりも、自転車のほうがアクセスしやすい、なんてこともあります。

建物が大きすぎて「〇〇駅から徒歩10分」で正面入口につくとしても、自分のフロアまではそこからさらに10分歩かないと到着しない...ところが家から自転車で行くと、最短で自分のフロアに、別の入り口からアクセスできて20分ぐらい短縮できる、といった具合です。

そうなると、駅から近くに住むよりも、自分が良く使うフロアにアクセスしやすい場所に住む、という選択肢が生まれます。一日の中で大きな負担となる通勤・通学。新しい職場、新しい進学先のために引っ越す場合は、そういった実際のアクセスの様子なども不動産屋さんへ確認出来たらよいですね。

災害危険度は重要。避難場所をまずチェック

災害が多く発生する国・日本では、引っ越す地域の災害危険度は重要視されます。過去に大きな災害があった場所は居住禁止区域として指定されることもありますが、そうじゃない場所でも本当に問題がないのか、不安ですよね。

もちろんどこにいても災害の可能性はあるのである程度の心構えは大切なのですが、さらに大切なのは災害が起きたときにすぐに避難できる場所が身近にあるか、ということです。

たとえば津波が起きることが予想される地域であれば、避難できる高台にすぐアクセスできるのか、地域から出るための道路は、津波が来ないような高い場所にあるのか、などです。

私は東日本大震災のときに、津波で大きな被害を受けた地域に住んでいました。幸い当時は高台にある高校に通っていたため無事でしたが、町の被害は甚大で、高い場所と低い場所の違いが一目瞭然でした。

高低差が少なく一面に町が広がっているような地域だと、徒歩でたどり着ける範囲の高台はまだ津波に飲み込まれる可能性が高いです。とにかく海から離れて遠く高い場所にたどり着くために、車での避難が最善となることも多いでしょう。

ですが、高台まで避難するための道路が海に近かったり、すぐ沈んでしまうような場所にあると、なかなかそれも難しいですよね。そして道路がそういった場所にある地域は、物資補給や救助についても厳しく、陸の孤島となる可能性が非常に高いです。

もちろん津波だけでなく、昔からこの地域にはどんな災害が起きていたのか? その場合地域の人はどのような避難をしているのか。これらを不動産屋さんへ確認して、万が一のために備えましょう。

見落としがちな将来設計と家賃のバランス

これも見落としがちな要素ですが「あと自分は何回引っ越しするのか」ということもおうち選びでは大切なことです。

進学に合わせておうちを選んだが、就職後も住み続けるのか。転職に合わせておうちを選んだが、今後何年住み続けるのか。これらの将来設計によって、おうちの選び方も変わってきます。

私は今年の8月に広島に住み始めました。さすがに転々としすぎたのでそろそろどこかに腰を据えたいところ...ですが、なかなか住み続ける場所を決めることもできないでいます。そして、仮に広島にこのまま住み続けるとしても、あともう一回は確実に引っ越しをすることになると考えています。

そのことを不動産屋さんに伝えると「それならば今予算ぴったりの新築の賃貸に住むよりも、仮住まいと考えて少し安めの賃貸に住んだほうがよい」とアドバイスをもらいました。また引っ越すことを考えて住む場合は、引っ越しの動線(エレベーターの有無、前の道の細さ)も考えたほうがよいとのことです。

道路の幅によっては、家の目の前まで引っ越しのトラックが入れずに、引っ越し屋さんが狭い道を何mも往復しなければいけない、そもそも大型家電が通らない、なんて事態も発生します。引っ越しはただでさえお金と体力を使うので、なるべくスムーズに済ませられるようにしたいですよね。

「知らない土地」に移住するときには「とりあえず住んで、土地を知ってみる」ということも大切です。引っ越しには想像以上の大金が掛かる上に、その金額は家賃によって大きく左右されます。そのため、これから自分が選ぶ家には今後何年住むつもりなのか?ということも考えて、不動産屋さんと相談すると、今後も見据えたおうち選びができるかと思います。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「知らない土地」に移住するときに何よりの味方となってくれるのが、その土地の不動産屋さんです。自分の現状や生活の核となる譲れない部分、「知らない土地」で不安であることもしっかりと伝えて、納得できるおうち選びができるとよいですね。

皆様の人生が大きく変わるタイミングで、この記事がお役に立てれば幸いです。

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