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都心を離れ地方で暮らす方に、移住についてありのままを伺うシリーズ。
今回は、東京都台東区から福島県南相馬市に移住した、松野さんご夫婦にお話を伺いました。
夫婦のショット
夫婦二人の夢を叶えるため、南相馬市へ移住
―本日はよろしくお願いいたします。まずは、お二人の移住の経緯について教えていただけますか?
和志さん:私たちが移住を考え始めたのは、以前暮らしていた浅草で子育てをするのは難しいと感じたからです。地方でもっとゆっくりしながら子供の成長を見守りたいと思い、移住を考え始めました。
美帆さん:もともと私の地元が福島県東部の浜通りというところで、実家から近い方が子育ても安心できることもあり、移住先を福島にしました。
和志さん:具体的にどの町にするか検討しながら、オンラインも含めて移住セミナーに30回ほど参加しました。そこで、南相馬市は震災の影響があったエリアであるものの、今は起業家が集まる地域となり、新しいビジネスを展開している人が多いと知って、興味を持ちました。
移住フェアにて南相馬市の移住相談の対応をしている和志さん
―30回はすごいですね!セミナーに通って南相馬市のことはわかりましたか?
和志さん:はい、ただ東京でセミナーに出るより、「南相馬で事業を考えてみる起業プログラム-事業化実現プログラム」に参加したことが大きかったです。実際に現地に足を運び、たくさんの人と会うことで、「この町で、夫婦二人でカフェを開きたい」という思いが大きくなりました。
―なぜカフェを開こうと思ったのですか?
美帆さん:出会ったころから、彼も私もそれぞれ「いつかカフェをやりたい」と思っていたんです。私はお菓子を作るのが好きだったこともあり、焼菓子屋さんで製造の仕事をしていました。
和志さん:妻は手に職をつけて準備ができていたのですが、私は飲食店のリスクなどを考えてサラリーマンをしていました。ただ、先述のプログラムに参加し「やりたいことを定年まで先延ばしにするのではなく、今やってみよう!」と思い、移住してカフェを開く決心をしました。
―ご夫婦で同じ夢を持っているなんて素敵ですね!
和志さん:ありがとうございます。今借りている空き家を住居兼店舗にして来年4月オープンを目指して改修中です。お店は南相馬市鹿島区に出すのですが、このエリアに喫茶店は多くありません。だからこそ、地域の方が気軽に集まれる場にしたいです。
地元に愛されるお店になった後に結果的に、市外の方も呼び込めたら嬉しいです。福島県の中でも海側の地域は観光に来る人はまだまだ少ないので、うちのカフェを目的地として訪れる方が増えたら、町の活性化に一役買えるのではないかと思っています。
珈琲を淹れている写真
―地域内外の方が交流できる場になると、とても盛り上がりそうです。お店はどんな雰囲気にする予定ですか?
和志さん:2人とも食や暮らしに興味があり、ちょっと気分を上げたい時に私たちのお店を思い出してもらえるようなお店にしたいです。カフェは人が生きていく上では絶対必要ありませんが、美味しいお菓子とコーヒーでホッと一息ついたり、そこに行けば誰かに会えたり、ちょっとした雑貨や道具で日常の暮らしを彩る。そんな何気ないことが暮らしを豊かにすると考えています。地域の方の暮らしに寄り添うお店にしていきたいです。
美帆さん:私が東京で働いていたカフェは、ていねいにおいしいものを作るというコンセプトでした。これから始めるカフェもこういった思いを持って、素材の味が感じられ、季節のものを使ったものや、つくり手の分かる地元の食材を使って安心して食べられるものを作っていきます。
―カフェはこれからオープンされるということですが、今は他のお仕事をされているんですか?
和志さん:はい、今は移住相談の仕事もしています。移住にはステップがあり、第一段階が地域を知ること、第二段階が地域を体験することです。知る段階の方のためには、首都圏でイベントを開催したりオンラインで地域の魅力を発信したりしています。体験する段階の方のためには、仕事と暮らしを体験する3~4日間のプログラムを主催しています。
私がそうであったように、実際に足を運ぶことで南相馬市のファンになり、リピーターとして何度も町に来てほしいです。現在は20~30代の若手をターゲットに、移住実践者による等身大の移住支援を行っています。
また、私が参加していた事業化実現プログラムの運営をしています。プログラム参加者のサポートなどこれから南相馬市で起業する方をどう支援できるか検討しています。
―実際に移住をされた和志さんだからこそ、寄り添えることがたくさんありそうですね。ちなみに、移住に際して金銭面を心配する方も多いのですが、その辺りはいかがですか?
和志さん:東京では建設業のコンサルタントをしていたのですが、そのころの方が金額的には収入が高かったです。ただ、東京で生活していた時に比べて家賃は半額以下になりましたし、ご近所の方から新鮮な野菜をいただくなど、食費が抑えられています。余暇でも何事もお金がかかる東京での暮らしと違って、海や山などそこにあるものが魅力的なので休日にもお金がかからない生活を送ることができます。
地域の方の優しさと移住者同士の盛んなコミュニケーションが魅力
―ここまでお仕事について色々とお伺いしましたが、プライベートではどんな変化がありましたか?
美帆さん:毎日の生活で、自然の豊かさを実感しています。移住して来たばかりのころは、ちょうど田植えの時期で水のはった田んぼがきれいでした。今は夏らしく緑が増えてきて、季節の移り変わりを感じられます。
和志さん:東京では住まいに庭はありませんでしたが、現在夢の庭を持つことができました。ウッドデッキを作ったり野菜やハーブを育てたいと思っています。
―もともと移住のきっかけは子育てがポイントとなっていましたが、そのあたりはいかがですか?
和志さん:この辺りは子どもを育てるのにぴったりだと思います。自然環境が豊かですし、人が多すぎないので子どもが自由に走り回れそうです。地域の人との関係も程よく保てて、親と先生以外の第三の大人の目線もある環境というのは、東京ではなかなか実現できません。
美帆さん:南相馬市は、田舎らしさも町の便利さもどちらもあるんです。日々の買い物に困ることはないですし、休みの日は山や海にすぐ行けるし、とても住みやすいです。
南相馬のお気に入りの景色
―南相馬市にはたくさんの魅力があるんですね。中でも、一番素敵なところはどこですか?
和志さん:人が親切で魅力的なことです。私は事業化実現プログラムを通じて、移住前から南相馬市に来ていました。そこで知り合った方が朝マルシェを主催していたのですが、その方に自分はいつかカフェをやりたいと話したところ、「うちのマルシェでコーヒーを出してみないか」と提案してもらったんです。
美帆さん:その時から地域の方が買いに来てくれて、「カフェはいつ始めるの?」「オープンしたら遊びに行くね」と楽しみにしてくださり、とても応援してもらっていると実感できました。
―移住者に対して、寛容な町なんですね。
美帆さん:高齢の方はぶっきらぼうな方もいらっしゃいますが、一度仲良くなれればとても親切にしてくださいます。一見怖そうな人でも、仲良くなると実はとっても良い人ということが何度もありました。
例えば移住前にこの町に来た時、「この場所でこういうことがしたいんです」と真剣にお話させてもらったら、空き家を一緒に見てくれたり、業者さんを紹介してくれたりしてくれました。
和志さん:みなさんが私たちを受け入れてくれるのは、南相馬市には移住者が多いからだと思います。起業仲間もたくさんいて、最近はシフォンケーキ専門店を始めた方がいます。他にもお酒造りをして地元だけでなくECサイトを通じて全国に販売している方など、多種多様です。こういう仲間が近くにいると、自分たちも頑張ろうと思えます。
地元・移住者との交流BBQ
―ほかの移住者の方同士のコミュニケーションの場はあるんですか?
和志さん:はい、リアルなコミュニケーションはもちろん、南相馬市の移住者が参加しているLINEのオープンチャットがあり、「来週フットサルをやります」「こういうイベントをやるので来てください」とやり取りしています。また、南相馬市の暮らしの情報が集まるオンライン掲示板としてのSlackがあって、新しく移り住んできた方が質問をしたり、コミュニケーションをとったりしています。
―それは移住者の方にとって心強いですね。
和志さん:南相馬市の魅力は人なので、これから移住を考えている方にもぜひ南相馬の人に触れていただきたいと思います。地元の方も優しいですし、移住者同士でも盛んにやり取りしています。
もちろん自然も素晴らしいのですが、この町で暮らす人に魅力を感じてもらえればと思います。
補助金を活用して移住の負担を軽減
―お二人とも南相馬市への移住をとても楽しんでいるように感じるのですが、苦労した点などはありませんでしたか?
和志さん:実は、家探しには苦労しました。南相馬市は震災をひとつのきっかけに家賃が上がり、そのまま高止まりしているようです。駅近キレイ目な1LDKの部屋が5万~6万円くらいで、東京とそれほど変わりません。
地方に住むにあたってそれは厳しいと思っていたところ、人伝てに安い賃料の一軒家を知ることができ、無事に借りられました。
―人伝てとは、どういった繋がりの方ですか?
和志さん:事業化実現プログラムで知り合った地域の方にご紹介いただきました。物件の見学などにも同行していただきとても助かりました。
物件探しは大変でしたが、私たちは移住にあたり補助金を活用する予定なので、金銭面では少し余裕が持てました。
仕事で現地を案内している写真
―どういった補助金を活用される予定ですか?
和志さん:「福島県12市町村移住支援金」です。これは避難指示等の対象となった、南相馬市を含む12の市町村に移住する人に交付される移住支援金です。また、同じ市区町村で「福島県12市町村起業支援金」というものもあります。これは対象地区に移住して起業した場合、起業にかかった補助対象経費の4分の3以内、最大400万円の補助が受けられるというものです。
住居の補助としては、「住んでふくしま空き家対策総合支援事業」を活用予定であり、空き家を改修して活用する人などに補助が受けられます。
―こういった制度を活用すると、移住もしやすいですね。最後に、南相馬市への移住を検討している方にメッセージをいただけますか?
和志さん:南相馬市を一言でいうと、ちょうどいい町です。田舎すぎず都会すぎず、ご近所さんとの関係も濃すぎず薄すぎない、そんな適度なバランスがとれています。だからこそ、いろんな方にとって住みやすい町です。
また、新しいチャレンジを応援してくれる土壌があります。起業したい方をはじめ、新しいことに挑戦したい方はぜひ移住を検討してみてください。
美帆さん:南相馬市は、自分で様々な活動をしている人が多いです。一度訪れれば、面白い人や物事にたくさん出会えます。まずは一度、ぜひ遊びに来てください。
夫婦のショット2
―南相馬市の魅力がとても伝わってきました。松野さん、貴重なお話をありがとうございました!
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