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【後編】移住の一歩目は「現地の人とのつながりを作る」こと

都心を離れ地方で暮らす方に、移住についてありのままを伺うシリーズ。今回は、東京都から岩手県陸前高田市に移住した溝渕さんにお話を伺いました。前編はこちら。


文/長井杏奈

「ゼロから町を作る」という光景を目の当たりに


― 前編では、これまでの経緯やお仕事について詳しく伺いました。ここからは移住そのものによりフォーカスして伺います。まず、陸前高田に行くと決めたとき周りの方の反応はいかがでしたか?

家族は、「自分で決めたことならいいんじゃない」と言っていました。私は末っ子なのでいずれは高知に戻ってきてくれたら嬉しいという気持ちはあったでしょうが、応援してくれていました。

前職では中堅ポジションに差し掛かっていたこともあり、ありがたいことに引き留めてくださいました。ただ、被災地に行って活動したいことを話し、最後は気持ちよく見送っていただきました。

―移住してみて、まず感じたことについて教えてください。

映像では何度も見ていましたが、やはり実際に行ってみると頭で理解していたことと目の前に広がる光景や空気感とは全く違っていました。ただ、当時は復興の真っただ中で、ある意味町がにぎわっていました。大きなダンプがあちこち行き交っており、飲食店は建設会社の人たちで昼夜満席でした。

今ではそれが終息し「陸前高田はもともと、このくらいの規模だったんだろうな」と想像しています。また、市街地復興の会合を見学して「本当にゼロから町を作っている」様子を目の当たりにしました。

―ゼロからですか?

街づくりの話し合いというと「今ある建物や地域資源などを活かしてどうするか」ということがベースになると思います。しかし「そもそも道路をどこに敷くか」といったようなことから話し合っていました。旧市街地の白地図を前に何もかも決めていく過程を見て、これは自分が生きている間にここでしか見られないだろうと思いました。

 

移住後は最新トレンドではなく、目の前にある自然と向かい合うように

―移住からもうすぐ10年が経とうとしていますが、溝渕さんご自身について何か変化はありましたか?

東京にいたころはデザインに関わる仕事をしていたこともあり、常に最新情報をキャッチアップしていました。今何が一番新しいのか、何がトレンドなのかなどを知っておくことも、仕事のうちでした。

しかし陸前高田に来てからは、目の前にある自然と向き合うことが多いです。新しさではなく、今あるものを使ってどうやってより良くしていくか、

次の世代に残すためにはどうしていくかという発想が必要です。だから、流行をつかむために時間とお金を使うことは少なくなりました。

―それは大きな違いですね。人間関係や地域の人とのコミュニケーションについてはいかがですか?

移住先の地域で馴染めないという話も聞きますが、私は特にそういったことはありませんでした。前編で話した木質バイオマスプロジェクトに加わった形なので、そのメンバーとの繋がりから始まり、受け入れ先の社長も移住直後からキーパーソンと引き合わせて下さいました。

また、2016年から陸前高田青年会議所に入会し、仕事ではなかなか出会えない同世代の方との関係性を深められています。

 

転職と移住を同時に行わず、まずは人脈作りから始めること

―溝渕さんは東京、高知、陸前高田と複数の地域との関係ををお持ちですが、改めて陸前高田の魅力は何だと思いますか?

この町を語る時に震災という要素が表に出ることが多いですが、防災・減災という側面はもっと割合として小さくしてもいいと思っています。というのも、陸前高田は山・里・海がコンパクトにまとまっていて、食や風景から季節の移り変わりを身近に感じられる点が魅力だからです。

震災直後に復興支援などで陸前高田へIターンして現在も活躍されている方も多いので、これから陸前高田に移住される方でも、横のつながりを作りやすいと思います。移住定住の事業に携わっている知人曰く、移住希望者からの注目度も高いそうです。ライターやデザイナーなど働く場所に縛られないスキルがある方なら、「自然豊かな場所へ移住してみたい」というふわっとした理由でも暮らして行けると思います。

暮らす地域によらずデジタルのスキルが最低限必要な世の中になっている中で、陸前高田では、そうした分野で経験を積まれた方が少ないので、事業所のホームページ制作や高齢者のデジタル支援などの需要が増えてきている中で貴重な存在です。また、手に職がない方でも、一次産業に専業で取り組む場合は、研修制度や活動資金の補助もそれなりにあると思います。

―移住希望者の背中を押すお言葉です。実際に移住を考えていても躊躇してしまう方は少なくありませんが、そういった方にアドバイスはありますか?

移住と転職をセットで考えている方も多いですが、まずは関心のある暮らし方を今いる地域やその界隈で試してみた方が、移住後のハードルを想定できるのではないでしょうか。私自身、生活と仕事を一気に変えましたが、移住して3年くらい経った辺りから肩の力が抜けて自然体で暮らせるようになってきたように思います。

例えば農業に興味があるなら、近所の市民農園に行ってみたり、八百屋でアルバイトしてみたり、今の環境で何ができるかを想像して実践してみた方が、「なぜ移住したいか」が明確になると思います。

そして気になる地域があれば、実際に足を運んでみて欲しいです。観光目的のツアーではなく、一人もしくは少人数で行ってその土地の人と出会ってみてください。その方と深くコミュニケーションとって、そこからつながりを広げたり、地元の目線で地域を観察したりすると、理解が深まると思います。すぐに行けない場合は、移住関連のオンラインイベントに参加してみて下さい。そこで人とのつながりが生まれれば、きっと移住のとっかかりになると思います。


前編はこちら。

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