掲載自治体数1600市町村
移住マッチングプラットフォーム
掲載自治体数1600市町村

旅先から暮らすまちへ 1泊2日の体験で人生が動く (豊後大野市)

田んぼの間を縫うように流れる用水路や水車、風に揺れる稲のささやきが、昔から変わらぬ農村の風景をつくる豊後大野市緒方町。

その高台の集落・野尻地区で民泊を営む1組の夫婦を訪ねました。

プロフィール 

【氏名】

冨安俊輔さん(28) ・由季(ゆうき)さん(32)

【出身・前住所】

福岡県

【現住所】

大分県豊後大野市

【家族構成】

愛猫つくね、ひじき

【SNS】

@ _____ya.tomi.bungoohno

インタビュー


旅先から暮らすまちへ 1泊2日の体験で人生が動く

大分県と宮崎県をつなぐ主要道路・日向街道沿いの「野尻バス停」の向かいから続く、急な傾斜の細い坂道。

対向車との離合(りごう)もかなわないその道を肩に力を入れつつ進むと、日常の喧騒から切り離された、情緒豊かな隠れ家が姿を現しました。

車を降りた瞬間、五感に語りかけてきたのは、草木の青い香りと、どこか懐かしい土の匂い。

そして築130年を超える古民家の扉を開けると、そこには冨安俊輔さん、由季さん夫婦の笑顔がありました。

自家栽培のお米や旬の野菜をはじめとする、心と体にやさしい手料理を味わいながら、温かなおもてなしに包まれる1日1組限定の宿の名前は『くつろぎ屋 豊冨(とみ)』。




しかしなぜ、福岡県出身の若い2人がこのような場所で民泊を?

聞けば俊輔さんの前職はシステムエンジニアで、由季さんは看護師。

大分といえば、湯けむり立ち上る別府の賑わいや、洗練された湯布院の美しい街並みが印象にあり、2022年6月に初めてこの地を訪れるまで、ご夫婦が知っていた大分は、いわゆる観光名所の姿だったと言います。

けれどSNSでつながっていた由季さんの知人が、ここ緒方町で民泊『朝山家(あさやけ)』を開業したことから、そこに宿泊しようと2022年6月に初めて豊後大野市へ。

当時、ビルの谷間に挟まれたオフィスで働いていた俊輔さんは、朝起きてから夜眠るまで、季節の移ろいを感じることもなく、ただ同じことを繰り返して過ごす日々に疑問を感じていたと振り返ります。

そこで俊輔さんの様子を心配した由季さんが、緑深いこの町に出掛けようと提案したのでした。

すると、道中は初めての行き先に少々の不安を抱えていた俊輔さんも、緒方町の澄んだ空気や初夏の光をたっぷり含んだ緑の景色に魅せられて表情が豊かに。

宿の食事もひと口ごとに大地の力が体の中に染み込んでくると感じ、たった1泊の滞在が2人の未来を大きく変えたと話します。

「移住を考えての行動ではなかったものの、帰り道はずっと“豊後大野市、めちゃくちゃ良かった”という話題ばかり。ああいう暮らしを自分たちもしたいね、という言葉を自然と口にしていました」

と俊輔さん。

その日から2人の人生の針は大きく振れ、これまでとは異なる時間が静かに、しかし確かに動き始めたのでした。

タイミングと縁を味方に 迷いよりも一歩を踏み出す

その2カ月後に俊輔さんと由季さんは入籍。

少しずつ仕事の調整を行い、数カ月おきにはあの宿へ。

合わせて市役所の窓口で移住制度について調べ、住まいとなる古民家を探すなど準備を進めました。

そして、地域おこし協力隊の枠に空きが出たタイミングで移住。

業務内容がゲストハウスの運営管理だったことも2人の背中を押し、民泊の開業に惹かれていた俊輔さん、由季さんの気持ちと、目の前に現れた「地域おこし協力隊」という新たな選択肢が一本の線でつながりました。

その後も未来を動かす出会いは続き、憧れていた夢に一歩、二歩と近づいていく2人。

ある日、市報に俊輔さんの協力隊としての紹介文が掲載されると、その中に書かれていた“民泊を開きたい”という一文を目にした方から、「良い家がある」声がかかったというのです。

案内されたのは、築130年を超えるこの古民家。

時を重ねた風格がありながらも丁寧に改修され、室内は息を吹き返したように美しく整えられていました。

こうして「いつか」と心の中で繰り返していた将来の夢は、「ここで始めよう」という具体的な現実へ瞬く間に変わり、移住の翌年となる2025年には新天地での生活が次の章へ。

由季さんは「これはきっと、逃してはいけないタイミング」と直感したと語り、「協力隊の任期満了を前に職から離れるのは迷惑かもしれない。

でも、民泊を始められる状況にあるのならしてみようよ」と俊輔さんに声をかけたと言います。

さらに驚いたのは、2人が収入の柱を民泊の外に求める選択をしているところ。

由季さんは月に数回、夜間のみ看護師として地域の病院に勤め、俊輔さんはリモートで働くエンジニアとして週に4日パソコンに向き合っているそう。

「田舎とは言え、ある程度収入が安定しなければならない、ということは移住後に気がついたことです。夢ばかりを追い求め、金銭的に苦しかった時期もあったので。だからと言ってお金を稼ぐための民泊にはしたくはなく、理想と現実をすり合わせた結果、今の生活に落ち着きました。だから今の生活は体力勝負(笑)。田植えの準備期間は特に忙しくなるため、その辺りのサイクルも先々は整えたいと考えています」。

昔からの暮らしを尊び これからの暮らしを一緒に

「誰とどう関わるか」の結果として、衣食住がゆっくりとカタチになっていくと話す由季さん。

スマートフォンの情報よりも先に、まずご近所さんの顔と名前を覚えること。

家を探すときも、仕事をどうするか迷ったときも、きっかけをくれたのはいつも人であり、地域の集まりで出会った人が「仕事として草刈りを頼みたい」と声をかけてくれたこともありました。

またある日は畑をしている人が野菜を分けてくれたり…。

そんな小さな物々交換が、この場所ではまだ当たり前のように残っていると言います。

だからこそ大切なのは、日々のあいさつや感謝の言葉を重ね、地域の集まりにもしっかりと顔を出すこと。

人との間に少しずつ橋をかけていき、昔からこの土地を守ってきた地域の方に、まずは自分たちが何者なのかを知ってもらうことが必要です。


そしてこの先の夢を「まずは続けること」と話す俊輔さんを横目に、「私はやりたいことがたくさん!」と目を輝かせて語る由季さん。

そのひとつが、都会ほど子どもが多くない地域だからこそ、「お母さんと子どもたち」と「ここで暮らしてきた高齢の方たち」が出会える場所をこの宿の中につくること。

生まれてきた子どもを歓迎し、育てている人を支え、見守る大人がそばにいる。そんな日常が当たり前にある未来を、由季さんは思い描いているそうです。

これからも、この場所を好きでいられる速度で暮らしと仕事を重ね、ときにカタチを変えながらも、この宿から生まれる物語は静かに、けれど、二人によって確かに紡がれていくと感じました。

古民家民泊 くつろぎ屋 豊冨(とみ)

【所在地】

大分県豊後大野市緒方町野尻183

【電話番号】

050-5482-7315

【SNS】

古民家民泊 くつろぎ屋 豊冨(とみ)Instagram

【マップ】

地図はこちら

豊後大野市関連サイト

大分県豊後大野市移住定住ポータルサイトはこちら

大分県の魅力をもっと知りたい!という方はこちら

RECOMMEND

このページを見た人はこんな自治体も見ています

AIチャット(ChatGPT)
{{row.message}}