【移住者インタビュー】奄美への移住でストレスフリーに。お金では買えない豊かな暮らし(後編)「ストレスがない」という奄美での生活。明るい島民や厳しい自然との関わり方まで伺います。
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移住を叶えた皆さんに、ご自身の移住体験について"ありのまま"を伺うインタビューシリーズ。今回は、千葉県から鹿児島県奄美市(奄美大島)へ移住した、瀧 直美(たき・なおみ)さんへのインタビュー【後編】をお届け。
【前編】に続き、奄美大島で数少ない「音楽療法士」として活動する瀧さんに、リアルな奄美の生活や魅力、地元民との関わり方、そして、移住してみたい人への背中を押すあたたかなメッセージまで、たっぷりとお話を伺いました。
文/住岡
ストレスがない日々。「なんとかなるさ」精神が身に付いた
──瀧さんが移住して5年になりますが、ご自身の中で変化はありましたか。
瀧 直美さん(以下同じ):日常のストレスが一掃されたことが大きいですね。もちろん、日々の生活の中で細かいストレスや失敗はありますよ。でも基本的に、気持ちは常に晴れ晴れとしているというか。
東京で働いていた時は、いつも何かに「急かされている」という気持ちでした。ですが、奄美大島に移住してからは、のんびりと暮らせています。元来、そのような生活が体に合っている性分なんだと思います。
でも20代の時は、それがどうしても認められなかった。今となっては観念して、「自分でものんびり生活が性に合っていると認めます!」という気分です(笑)。「なんとかなるさ」精神が身に付きました。
──ストレスがなくなった理由は?
瀧さん:都会で暮らしていく上で必ず感じてしまう、移動や人混みによる疲れがない。そのストレスから解放されただけで、とても気が楽になりました。
あと、やっぱり「自然」が身近にあるというのも大きいですね。すごく身近に自然がある。都会に住んでいる時は自然を求めて、遠くまで出かけていました。海に行くだけでも数日前から予定を立てて、というのが東京では当たり前じゃないですか。
今は海を観たかったら家から歩いてすぐ行けるし、新鮮な風を感じたいなと思えば扉を開けるだけでいい。望んだ時に自然に触れ合えるという環境は贅沢だなと、しみじみ思います。ありがたいです。
新鮮な野菜や果物。お金では買えない豊かさがある
──それは素敵ですね! 瀧さんの思う奄美大島の魅力について、もっとお伺いしたいです。
瀧さん:そうですね。先ほどの話とも通じますが、休みの日に朝起きてから、「今日は何しようかな?」って考えられるところですね。天気がよかったら海にふらりと行って遊んだりして、昼には家に帰ってきて、ご飯を食べる。ひと段落したら、「午後は何をしようかな」ってまたのんびり考える。そんな穏やかなライフスタイルで過ごせるところです。
移住する前、奄美大島に住んでいる従兄が同じようなことを言っていて、その言葉が羨ましかったのを覚えています。最近、ふと当時を思い出して、「あのとき憧れていてた生活ができている!」と気付き、嬉しくなりました。
──奄美大島の生活で“お気に入りポイント”はありますか?
瀧さん:奄美に咲く桜は「緋寒桜」という種類。本島と比べて早く咲くので、お花見の時期は1月や2月なんですよ。その時期は朝起きてすぐ、桜を見にドライブに行くのが楽しみ。渋滞もないので、こころゆくまで桜を眺めたりしていると幸せを感じますね。
無人野菜売場めぐりにもハマっていて、新鮮な野菜を安く買うのが楽しみです。近所の人や友人から、旬の野菜や果物をいただくこともしょっちゅう。分け合い精神が日常に溢れてることも、お金では買えない豊かさを感じます。
──奄美大島は天候も晴れやかで、暮らしやすいイメージがあります。
瀧さん:暮らしやすいというのは間違いではないと思いますが、天候が「ずっと穏やか」というわけではありません。むしろ変わりやすく、気まぐれです。移住する前に抱いていた「青い海、青い空」みたいな温暖で安定した気候ではないことに驚きました。特に冬は曇っている日のほうが多かったりもします。
天気予報はあてにならないので、どんなに晴れていても干していた布団は取り込みます(笑)。
──台風がよく来る印象もありますが、実際どうなのでしょうか。
瀧さん:わたしが移住してからは、そんなに大きな台風に当たったことがないですね。以前住んでいた家は結構なボロ家だったのですが、近所のおじちゃんが家中の窓が割れないように養生してくれました。台風に慣れていないわたしに代わって、台風対策を黙ってやってくれたことにびっくりしました。奄美の人って、やっぱり親切なんですよね。
つながりを大事にする島民性。集まって暮らしを楽しむ
──「地元の人とうまく馴染めるか」は気になる点かと思います。瀧さんから見て、奄美の人の島民性はどのように感じますか。
瀧さん:すごく「つながり」を大事にする方が多いなと感じます。例えば引っ越してすぐに、音楽療法士の活動を始めるために、島内の色々な施設に営業へ行ったんです。都内と同じ感覚で飛び込んだので、門前払いや冷たくあしらわれるのも覚悟の上だったのですが、みんなとても親切で。
ほかの法人施設を紹介してくれたり、この人とつながっていたら色んなことが広がっていくんじゃない?という感じでつないでくれたり、親身になって協力してくれました。面倒見がいい方が多いと思います。
そのほかにも、集まって呑むことが好きな人が多い印象です。仕事以外の時間も趣味で充実してる人が多くて、“暮らし”を楽しんでる感じが魅力ですね。
──瀧さんは現在、ご結婚されて隣の大島郡龍郷町に引っ越されたとか。
瀧さん:はい、地元の人が紹介してくれて奄美大島の出身の夫と2年前に再婚したんです。彼の奄美に愛着を持っているところに惹かれました。
奄美の人は進学や就職で一度島外へ出てしまうのですが、島へ戻ってきて定住する人は、それだけ奄美が好きだと思うんですよ。わたしも奄美が好きで暮らしているので、その感覚が一緒。それが心地よいです。あと奄美の人は良い意味ですれていない。そこも好きです。
──では逆に、奄美大島での暮らしで、苦労したことはありますか。
瀧さん:もちろんあります。わたしにとって一番の苦労は「運転」でした。奄美大島には電車がなく、バスもそんなに本数がないので、車がないと生活できないのが現状。
免許は持っているのですが、もともと運転がとても苦手。関東で生活していた時は、ほぼ運転したことがないくらいで。移住前は「なんとかなる!」と考えていましたが、実際は慣れるのに時間がかかりました。
とはいっても、道も広いし車も少ないので、関東よりはずっと運転しやすくはあります。今では気軽にドライブに行けるくらいには上達しました。
移住ライフに迷うなら、まずは一歩踏み出してみて
──最後に、移住者の先輩として、移住を考えている人へメッセージをお願いします。
瀧さん:わたしが最初に移住しようと決意したとき、「年齢を考えて、ある程度やったら身を引いた方がいい」と忠告されました。今思い返すと、そのアドバイスを聞き入れなくて良かったなと(笑)。
わたしの移住ライフは38歳からと遅いように感じますが、きっと20代の頃は島に住みたいと思えなかった。
38歳という年齢で、自分で決断して移住したからこそ、いろんな素敵な出会いに恵まれました。人それぞれそのタイミングがあると思いますが、「移住したい」と悩んでいるのであれば、まず一歩踏み出してみてください。
(前編を読む)
鹿児島県奄美市はどんなまち?
奄美大島は鹿児島県鹿児島市から南へ380kmの場所に位置する、鹿児島県の離島の中で最も大きな島です。令和3年7月26日に「世界自然遺産」に登録され、豊かな自然環境と温暖な気候から生まれた食や文化が魅力。そんななか奄美市は奄美空港なども有する、奄美大島の拠点となっている都市です。