【前編】沖縄県・那覇市への移住も「なんとかなるさ」!大自然に一軒家を建てられる幸せ結婚を機に沖縄へ移住。アーティストが感じたメリットとデメリットとは?
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移住を叶えた皆さんに、自身の移住体験について"ありのまま"を伺うインタビューシリーズ。今回ご登場するのは、2019年に神奈川県川崎市から沖縄県那覇市に移住したアーティストの大出訓子(おおいで・くにこ)さん。
前編では、移住のきっかけや実際に住んでみて意外だったことなどについてお話いただきます。
文/田代祐子
「なんとかなるさ」精神で東京の仕事をリセット!
――本日はよろしくお願いいたします。まずは移住するまでの経緯を教えてください。
大出訓子さん(大出さん/以下同じ): 2003年に地元の栃木県から上京後、デザイン事務所に勤務し、イラストレーターとして活動していました。その後は転職し、絵だけでなく空間デザインやディスプレイ制作にも携わっていたのですが、2018年の結婚を機に、退職。沖縄県那覇市へ移住しました。
――結婚を機に移住したとのことですが、なぜ那覇市だったのでしょうか?
大出さん:夫は建築士で、出会った当時は東京と沖縄を往復する生活をしていました。リゾートホテルの設計をしていて、いずれ沖縄へ移住すると聞いていたんです。結婚を前提にお付き合いしていたこともあり、新しい土地での生活になりますが、彼のチャレンジしたいという気持ちを感じて移住を決めました。
那覇市以外にもいろいろと物件を探しましたが、仕事柄移動も多く来訪者も多いため、条件的にアクセスのよい那覇市に決めました。
――決意してから移住するまでの期間はどのくらいだったのですか?
大出さん:約1年ですね。会社周りの人に伝えたり、引継ぎをしたりする期間がありました。ちなみに籍は移住前に入れました。
――会社を辞めることに不安はなかったのでしょうか。
大出さん:34~35歳の年だったので、会社からは出世して欲しいと言われましたし、自分でももっと挑戦してみようかなと思っていた時期でもあったんです。
一方、夜勤も多く週1の休みで不定期のため、しんどさもありました。ストレス発散のために無理して睡眠時間を減らし、ハメを外して遊んでしまうことも…。身体を壊したりしていたので、よくないなぁと感じていました。友人や家族と会いにくくなってしまうけど、環境を変えていったん落ち着いてみようかなと思ったんです。
一度リセットして、自分のやりたいことを振るいにかけてみようと。プラス思考なので“なんとかなるさ精神”が強くて、不安というよりは楽しみな気持ちの方が強かったです。
憧れの沖縄生活。現実は厳しいことも
――沖縄は憧れの移住地No.1ですが、住んでみてイメージと違ったことはありますか?
大出さん:私自身、旅行で沖縄に何度も訪れているのですが、旅行で来るのと住むのはもうまったく別ですね。旅行で来ると、青い海、青い空、南国のあたたかい雰囲気でおっとり楽しいみたいな感じですよね。ところがいざ暮らしてみると、まず晴れている日が想像よりも少ないんです。
曇りの日が多くて、スコールのような――沖縄の方言で「カタブイ(方降い)」も多いですし、台風も多い。洗濯ものは乾きづらいし、湿気が多いのでカビやすく、海の水が入ってくるので、なんでもサビやすいです(笑)。
坂が多いので自転車はあまり乗らず、近くのコンビニまで行くのも車って人も多いですよ。車社会なので大きい国道は渋滞してることも多いですね。そして気候上、東京のようなオシャレはまずできません。
――東京のようなオシャレができないとは?
大出さん:冬でもあまり寒くないため、ブーツを履きたいのですが履いたら蒸れます。そこまで気温が低くないので、2枚くらい着れば大丈夫。なので重ね着のオシャレも暑くてできません(笑) 。
夏は肌を出しているところは全部あっという間に焼けますし、帽子や日傘をささないと汗だくで化粧は崩れっぱなし、服もびちょびちょです(笑)。乾きのよい麻や綿、風通しのいい涼しい格好ばかりしちゃいますね。一年中ビーサンを履いていて、寒い時期に少しの期間だけ靴ですが、ほぼ履かなくなりました(笑)。
――なるほど。ほかに沖縄生活で大変なことはありますか?
大出さん:虫ですね。虫が嫌いだったら、難しいかもしれません! ホテルがいかに虫の駆除を頑張ってくれていたのかと感じます。我が家は築45年以上の一軒家なのですが、すべてガタついているので、自然とともに生きている感じです。
家の中でも蟻は歩いてますし、見たくないあの茶色のやつもいます(笑)。夕方ごろからはキュッキュッっと、ヤモリが泣き始めます。それから、植物の成長が異常に早く、庭はジャングル化しています。燃えるゴミの日のように、「草・木の日」があって、草と木だけを回収する日があるくらいです。
――移住する際、自治体が用意している支援などは利用したのでしょうか。
大出さん:那覇市は人気のためか、移住に関する支援制度は特にないんです。就職支援などはあるようですが、金銭的な支援は受けませんでした。その変わり、夫の会社が引っ越し金を半分出してくれたので助かりました。沖縄への引っ越し代は結構高いですよ(笑)。
それでも大自然は最高!土地を購入しアトリエに
――いろいろとイメージとは異なることがあるのですね…! 逆によかったことを教えてください。
大出さん:やっぱり大自然ですね。ちょっと行けば海がありますし、ジャングルみたいな山もある。そういうところで息抜きをしたり、遊んだりできるので、子どもを育てるにはいい場所だなと思います。
あとは人がやさしい! 買い物に行くと、パン屋さんやお肉屋さんのお母さんが沖縄のことを教えてくれるので、わからない点は相談できたりするんです。お店をやっている人たちはすごく働き者で明るくて、元気づけられることが多いです。子どもにも話しかけてくれるし、面倒も見てくれるし、お菓子もくれたりして、あたたかいです。
――仕事において、今後の目標や夢はありますか?
大出さん:昨年、今帰仁村に土地を買いました。5年後くらいを目標に、主人が家を設計し、内装は家族で手を加えながら作り上げ、移り住めたらと思っています。そこに別棟でアトリエを設ける予定です。
今も家の一室をアトリエにしているのですが、賃貸なので思いきって汚して制作することがしにくく、生活スペースと同じ空間なので、広げて制作もできないため、作業スペースの倉庫みたいになっていてあまり活用できていません。土地を買えるというのも、移住ならではと言えるかもしれません。東京は高すぎて買えませんよね。
⇒後編では、移住先での出産や子育て、仕事のことについて伺います。
(後編はこちら)
沖縄県那覇市ってどんな街?
那覇市は人口約32万人の沖縄県の政治・経済・文化の中心地です。国際空港である那覇空港や、県外・周辺離島とを結ぶ那覇港を擁することから、沖縄県の玄関口としての役割も担っています。都市化が進む一方で、昔ながらの琉球古民家や世界遺産・首里城などの史跡など、沖縄の伝統的な文化にも触れることができます。また、市場や国際通りでの買い物などを楽しむ観光客で一年中賑わっています。