うちの子らしく育ってほしいから。長野のオルタナティブスクール
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自然の中で遊ぶ親子
「オルタナティブスクール」とは、ヨーロッパやアメリカなどの哲学思想や、日本の公教育とは異なる独自の教育思想をベースとしている学校のこと。一条校(学校教育法第一条に定められた学校)だけでなく、フリースクールや無認可校も含まれます。
日本で広く行われる画一的な教育ではなく、子どもたち一人ひとりが本来持っている探求心や自律性、主体性を伸ばすようなプログラムを提供することが、オルタナティブスクールの大きな魅力です!
今回は、自然環境を活かしながらオルタナティブ教育を提供している、長野県の保育園・幼稚園・学校をご紹介します。
文/宇野桜
大日向小学校・大日向中学校(佐久穂町)
大日向小学校・大日向中学校の校舎
長野県佐久穂町にある「大日向小学校・大日向中学校」は、日本で初めての「イエナプラン教育」に基づいた学校です。「誰もが、豊かに、そして幸せに生きることのできる世界」を建学の精神として掲げ、児童が自分の特性を活かしながら学んでいます。
1日のスケジュールは、「サークル対話」「遊び」「ブロックアワー(自立学習・基礎学習)」「ワールドオリエンテーション(協働学習・総合学習)」で構成され、子どもたちは週の初めに立てた計画に沿って学習を進めます。1週間や1年間の区切りには「催し」も行われます。
校内には、子どもたちとグループリーダー(教師)がいつでも輪になって話せる場所や、作業ができる場所、一人で静かに学ぶ場所などがあります。子どもたちが自発的に学ぶ意欲をもつために、専門的に考え抜かれた環境です。
「イエナプラン教育」とは?
ドイツで生まれ、オランダで大きく成長した学校教育のカタチ。一人ひとりを尊重しながら自律と共生を学ぶ、オープンモデルの教育です。
イエナプラン教育のコンセプトは、「人間について・社会について・学校について」それぞれ記された「20 の原則」に基づいています。
「どんな人も、世界にたった一人しかいない人です。つまり、どの子どももどの大人も一人一人がほかの人や物によっては取り換えることのできない、かけがえのない価値を持っています。」
「私たちはみな、それぞれの人がもっている、かけがえのない価値を尊重しあう社会を作っていかなくてはなりません。」
「学びの場(学校)とは、そこにかかわっている人たちすべてにとって、独立した、しかも共同して作る組織です。学びの場(学校)は、社会からの影響も受けますが、それと同時に、社会に対しても影響を与えるものです。」
(日本イエナプラン教育協会ホームページより抜粋)
このように、個性を認め尊重する姿勢と、学校のあるべき姿が語られています。
佐久穂町についての基本情報
https://tabisumu.jp/municipality/NAGANO/sakuho
軽井沢風越学園(軽井沢町)
軽井沢風越学園のようす
「安全・安心な場を自分たちでつくる、学びをつくる、自分たちの学校をつくる、コミュニティをつくる、仕組みをつくる、ルールをつくる、自分をつくる」といった、たくさんの「つくる」を大切にしている学校です。
3歳から15歳までの児童がいる「幼小中混在校」で、年齢の垣根なく一緒に遊び、学ぶことが大きな特徴。年少から小2までを前期「自分をつくる時期」、小3から中3までを後期「自分でつくる時期」と捉えています。
前期では、遊びや生活のなかで「~したい」という気持ちや自分らしさを育みます。後期では、その「~したい」という気持ちをもとに、他者や社会と関わりながら「つくる」を本気で経験します。
軽井沢町についての基本情報
https://tabisumu.jp/municipality/NAGANO/karuizawa
信州親子塾(長野市)
信州親子塾のようす
長野市で活動する、自立を望む親と子のためのフリースクール。不登校の子どもたちへの居場所の提供や、通信制の高校や大学に通う学生へのサポートをしています。
「信州親子塾」のコンセプトは、「『自分を変える』のではなく『自分に還る』」。他人からの評価を気にして「自分を変えなきゃいけない」と思うのではなく、「自分の中にある感覚・感性」や「自分の好き」に耳を傾け、自分がどうしたいか?を基準に選択をしていくという姿勢です。
塾では、身体を動かしたり、勉強したり、料理をしたり…子どもたちは、「自分の時間軸」で遊びや学びに取り組みます。
長野市についての基本情報
https://tabisumu.jp/municipality/NAGANO/nagano
八ヶ岳まあるい学校(北杜市)
八ヶ岳まあるい学校のミーティング
八ヶ岳の豊かな自然に囲まれたオルタナティブスクール。約2,000坪の森をメインフィールドとし、森の中にあるゲルを校舎として使っています。
フリーデイの月曜は、遊具を手作りしたり、川遊びやプログラミングをしたりと、やりたいことを自由にできる日。火曜・木曜の午後は講師と一緒に、アートや木工、太鼓などのワークに取り組みます。金曜はフィールドワークとして、子どもたちが自ら計画を立てた場所へ、お弁当を持って出かけます。
また、朝の会と帰りの会では「まあるいミーティング」が開かれ、子どもたちによって学校に関するさまざまな提案・決定がされていくのも特徴です。
北杜市についての基本情報
https://tabisumu.jp/municipality/YAMANASHI/hokuto
こどもの森幼稚園(長野市)
子どもの森幼稚園の活動
標高1,050mの飯綱高原に位置する幼稚園。近隣には豊かな山や森があり、自然を主軸にした教育を行っています。
こちらの幼稚園では、「子どもが主体的に遊び、自然の事象を不思議に思い、考えたり、探したり、工夫したり、感じたりする力を育てること」が大切だと考えています。園児たちは、毎日夢中で遊びながら失敗と成功を繰り返すことで、自己肯定感やコミュニケーション能力を育み、「生きる力」を身につけています。
園児自ら包丁を使って、季節の料理を作る機会も月に一度設けられています。薪を集めて飯盒でごはんを炊くなど、都会ではなかなかできない貴重な体験ができるのも魅力の一つです。
長野市についての基本情報
https://tabisumu.jp/municipality/NAGANO/nagano
みんなの学校(飯綱町)
みんなの学校の活動
「シュタイナー教育」を取り入れた、小中学生のためのフリースクール。「大切なわたし 大切なあなた みんな輝いている」という理念に向かって、一人ひとりが持つ個性を大切に伸ばし、お互いに尊重・調和しあえるような教育プログラムが提供されます。
「自然体験」と「芸術体験」を教育の柱としながら、一般の学校と同様に国語・算数(数学)・理科・社会・英語も学びます。通知表やテストはありません。
学校では、小学1年生にあたる「1年生」から、中学3年生にあたる「9年生」までを受け入れています。古民家を改修した学び舎は、1〜3年生の低学年、4〜6年生の高学年、7〜9年生の中等部の3教室に分けられています。
「シュタイナー教育」とは?
一人ひとりが最大限に能力を活用できるよう、個性の尊重を重視した教育法。哲学者ルドルフ・シュタイナーが提唱し、ドイツを中心に世界60か国の教育現場で広く取り入れられています。
「シュタイナー教育」では0〜21歳までの成長を、7年周期で3段階に分けられるとし、それぞれの発達段階に合わせた教育を行います。
身体が育つ0〜7歳は多様な遊びを楽しむこと、心が育つ8〜14歳はさまざまな芸術にふれること、頭が育つ15〜21歳は自立性や思考力を養うことをメインとしたプログラムが組まれます。
また、音楽に合わせて身体を動かすことで、他者との調和を育む「オイリュトミー」や、直線・曲線・非科学模様などを描くことで、芸術的感性と集中力を養う「フォルメン」を教育の柱とするのも、シュタイナー教育の特徴です。
飯綱町についての基本情報
https://tabisumu.jp/municipality/NAGANO/iizuna
伊那市立伊那小学校(伊那市)
伊那市立伊那小学校
「伊那市立伊那小学校」は、通知表や固定的な時間割・チャイムがない公立小学校として有名です。「総合学習」と「総合活動」を教育課程の中心に据え、クラス単位で探求的なテーマに取り組みます。
1つのテーマの実践期間は、1〜3年生・4〜6年生の3年間ずつ。1年生と4年生のときに、子どもたち自身でテーマを決定します。林業の専門家からアドバイスを受けながら炭作りをしたり、自分たちで食べるためにブタを育ててみたりと、学級によってテーマや学びはさまざまです。
公立校のため、教員の人事異動もあります。しかし、教員同士で授業を見学し合い、議論を重ねて授業力を高めることにより、伊那小学校の特色である「探求型」の教育を守り続けています。
伊那市についての基本情報
https://tabisumu.jp/municipality/NAGANO/ina
グリーンヒルズ小学校・中学校(長野市)
グリーンヒルズ小学校・中学校のようす
2005年の開校以来、自然豊かな環境と専門家ネットワークを活かした探求学習を展開する、オルタナティブスクールの先駆け的存在です。「国際バカロレア」の初等教育である「PYP」の候補校に認定されています。
教育目標は、「相互の関係性を基盤にして、一人ひとりの自律性を育む」。飯綱高原の豊かな自然の中で暮らしながら「互いに支え・支えられるよりよい関係を自ら求め築くこと」によって、豊かな人間性・創造性を備えた人格が育成できると考えています。
カリキュラムは、「プロジェクト」「基礎学習」「自治活動」で構成されます。この3分野を基盤としながら「対話」を重視し、周囲の人々や自分自身との対話を通して、学びが展開されています。
「国際バカロレア(IB)」とは?
ジュネーブに本部がある「国際バカロレア機構」が提供する、国際的な教育プログラム。
「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成」を目的としています。
国際バカロレアには、「初等教育プログラム(PYP)」「中等教育プログラム(MYP)」「ディプロマ資格プログラム(DP)」の3つの教育課程があります。高校生が対象の「ディプロマ資格プログラム」では、試験に合格すれば、世界の大学入学資格と同等の資格があると認められ、「IB入試」で世界各国の大学に志願することが可能です。
現在は日本の大学でも、IB資格がAO入試の出願資格の一つとして導入されるなど、IBスコアを活用した入学者選抜が拡大しつつあります。
長野市についての基本情報
https://tabisumu.jp/municipality/NAGANO/nagano
インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(軽井沢町)
インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢のようす
2014年開校の、全寮制インターナショナルスクール。日本人だけではなく、日本で育った外国人、海外からの留学生など、多様なバックグラウンドをもつ高校生が共同生活を送ることで、真の異文化理解の体験ができる学校です。
「私たちは、自ら成長し続け、 新たなフロンティアに挑み、 共に時代を創っていく チェンジメーカーを育みます。」を建学の精神に、自分や社会にとって必要なことを見極めて行動を起こす、チェンジメーカーとしての素質を伸ばす教育を行っています。
高校1年次には、少人数でのディスカッションベースの授業で、自分の意見を表現する力を鍛えます。1年間で得た知識やスキルをベースに、2〜3年次には国際バカロレアのディプロマプログラムを履修します。
軽井沢町についての基本情報
https://tabisumu.jp/municipality/NAGANO/karuizawa
インターナショナルスクールオブ長野(松本市・長野市・上田市)
インターナショナルスクールオブ長野のようす
2歳児〜小学部までの児童が在籍するインターナショナルスクール。国際バカロレアプログラムの認定校です。信州ならではの自然や地域との活動、社会や世界を英語で学ぶ環境を通じて、「日本人らしい国際人の育成」を目指します。
2歳児クラスでは英語を「聞く」「理解する」力を身につけ、3歳児クラスでは短文の英語を話し、4歳児クラスでは単語の読み書きを覚えて…と段階的に英語を学習し、5歳児クラスではより自由に英会話を楽しめるようになります。
県内には、松本校・長野校・上田校があり、それぞれに1〜2つのキャンパスがあります。フルタイムの保育だけでなく、夕方の学童保育や、外部生が通えるサマー・ウィンター・スプリングプログラムを実施しているのも特徴です。
松本国際高等学校(松本市)
松本国際高等学校のようす
こちらの高校の普通科には「IBコース」があり、国際バカロレア資格の取得や大学入試対策を視野に入れながら、各教科で「探究型の授業」が取り入れられています。
授業では、課題抽出からその調査方法、答えへのアプローチまで自ら考える「能動的な学び」を実践。さらに、そのプロセスを発表するプレゼンテーションやグループディスカッション、ディベートも展開され、実社会で必要な能力もしっかり身につけられます。
外国人講師の英語授業で、国際的に通用するコミュニケーション能力が磨けることも特徴の一つ。他国の独自文化を受け入れて、かつ自分のアイデンティティを明確にもつ「真の国際人」になるための教育も、さまざまな形で授業に取り入れられています。
松本市についての基本情報
https://tabisumu.jp/municipality/NAGANO/matsumoto
豊かな自然環境の中、自分らしく生きる力を育む
画一的な教育プログラムにしばられることなく、子ども一人ひとりがもつ個性を伸ばし、学びを深められる「オルタナティブスクール」。
「自主性を尊重した教育をしたい」「子どもが学校を嫌がる」「国際性を身につけてほしい」という方は、検討してみてはいかがでしょうか。