
「農業で、人と町をつなぐ。」農業未経験の30代が、5人家族で津奈木町に移り住んだ理由。熊本県・津奈木町 元地域おこし協力隊インタビュー|上原ゆいさん(30代)
- 津奈木町ってどんなところ?
- 基本データ
- ロケーション・アクセス
- 自然・アート・食が交差する「豊かさ」
- 主な特産品
- 暮らしの環境
- 主な移住支援制度
- 「海も山もあるところがいい!」長男の一言が、すべての始まりだった
- お試し住宅での「空気感」が決め手だった
- 「つなぎFARM」って何?農業経験ゼロからのスタート
- 子どもたちと一緒に育てる「サラ玉プロジェクト」
- 東京からシェフを呼んで「青空食堂」を開いた日
- 「青パパイヤ」の認知を広げる挑戦
- 任期中に第3子誕生。育児と仕事、両立できた理由
- 「協力隊」ではなく「住民」として溶け込む
- 任期後の夢は「みんながふらっと来られる食堂みたいな場所」
- 「まず来てみてください。津奈木の人の豊かさが、きっと伝わるはずです」
- ▼ まずは"お試し"から
- ▼ 移住支援金(最大100万円)をチェック
- ▼ 地域おこし協力隊・つなぎFARMについて
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移住を叶えた方々に、ご自身の移住体験について"ありのまま"を伺うインタビューシリーズ。今回は、北九州市から熊本県葦北郡津奈木町に移住し、令和7年6月まで地域おこし協力隊として「つなぎFARM」の推進に取り組んだ上原ゆいさん(30代)にお話を伺いました。
夫・お子さんとの5人家族で、小学4年・小学1年・1歳のお子さんを育てながら、農業未経験から地域農業の担い手へ。長男の「海も山もあるところがいい!」というひと言が引き金となった移住から、今では消防団にも入り地域に深く根ざす上原さん。その暮らしとやりがいの全貌をお伝えします。
津奈木町ってどんなところ?
基本データ
所在地:熊本県葦北郡津奈木町(熊本県南部)
人口:約4,000人(2026年1月時点)
面積:34.09 km²
気候:温暖(柑橘類の栽培が盛ん)
最寄りの大きな都市:水俣市(車で約5分)、八代市(北方向)
公式サイト
津奈木町移住定住サイトつなぎぐらし(https://www.town.tsunagi.lg.jp/teiju/)
津奈木町ホームページ(https://www.town.tsunagi.lg.jp/)
津奈木町観光サイト(https://tsunagi-minagi.jp/)
ロケーション・アクセス
津奈木町は、熊本県南部に位置する人口約4,000人の小さな町です。西に広がるのは穏やかな不知火海(八代海)、東・南・北の三方はなだらかな山々に囲まれ、まさに「海も山もある」自然豊かな環境。温暖な気候に恵まれ、1年を通じて柑橘類の栽培や漁業が営まれています。
アクセス面では、南九州西回り自動車道の「津奈木IC」があり、熊本市内から車で約1時間30分、福岡市内からは約2時間30分で到着できます。電車でのアクセスも可能で、JR熊本駅から新水俣駅を経由して肥薩おれんじ鉄道の津奈木駅まで約50分。都市圏との距離感は「遠すぎず近すぎず」という印象です。
自然・アート・食が交差する「豊かさ」
津奈木町の大きな特徴のひとつが、約40年にわたるアートによるまちづくりへの取り組みです。2001年に開館した「つなぎ美術館」は、熊本ゆかりの作家の作品を約450点収蔵する町営の美術館。館内展示のほか町の随所に屋外彫刻・常設アート作品が点在し、町全体がアートのフィールドになっています。また、農園を縫うように走るモノレールで向かう絶景露天風呂「つなぎ温泉ホテル四季彩」や、旧赤崎小学校を活用した「海渡り」も、この町ならではの体験です。
食の面では、不知火海の恵みを受けた真牡蠣(冬〜春)、糖度13度以上を誇るデコポン、種なしで香り高いスイートスプリング、水にさらさず生食できるサラダ玉ねぎ、脂乗りのよい太刀魚など、季節ごとの特産品が揃います。
主な特産品


暮らしの環境
町内にスーパー1件・コンビニ2件・内科1件・歯科医院1件があります。ドラッグストアや総合病院は隣の水俣市(車で約5分)に揃っているため、日常生活に大きな不便は感じにくい環境です。教育施設は保育園2園・小学校1校・中学校1校。保育園には園庭があり、子どもたちがのびのびと過ごせます。アートと農業を教育の軸にした独自の授業も実施されています。
「地域行事が盛んで、住民同士の距離が近い」のも大きな特徴です。つなぎ桜祭り・夏祭り・競舟大会・ふれあい祭り・町民体育祭(年4回!)など、顔を合わせる機会が豊富にあります。移住者からは「近所から野菜や柑橘のおすそ分けをよくもらう」「温泉に2日に1回通っている」「海沿いの暮らしで心が癒される」といった声も聞かれます。
主な移住支援制度

インタビュー|上原ゆいさん(30代・地域おこし協力隊・つなぎFARM推進)
【プロフィール】上原ゆい(うえはら・ゆい)30代
熊本県出身。2014年に結婚後、北九州市へ。2021年に夫・慶人さん、子どもたち(現在:小4・小1・1歳)と共に津奈木町に移住。令和7年6月まで地域おこし協力隊として「つなぎFARM」の推進を担当。任期中に三男を出産した3児の母。

「海も山もあるところがいい!」長男の一言が、すべての始まりだった
――移住のきっかけを教えてください。
上原さん: 長男が小学校に上がるタイミングで「そろそろ腰を落ち着けよう」と夫婦で話し合っていたんです。そんなとき、長男が「海も山もあるところがいい!」とポロッと言いまして。その一言がすごく刺さって。子どもの言葉って、本質をついてくるんですよね。
2人とも自然豊かな熊本で育ちましたし、「子どもには自然を身近に感じながら育ってほしい」という気持ちは元々ありました。コロナ禍で旅行もできない時期でしたし、馴染みのある熊本を中心に移住先を探し始めました。
――数ある選択肢の中から津奈木町を選んだ理由は何でしたか?
上原さん: まず「つなぎ暮らしお試し住宅」で2〜3泊滞在してみたんです。実際に暮らしてみたらすぐわかりました。町役場の方がすごく親切にしてくれて、近所の方々もとても温かい。子ども連れで見知らぬ土地を訪れても、全然緊張しなくていい雰囲気だったんですよ。「ここで暮らせるな」という確信が持てました。空き家バンクで家も見つかり、子育て支援も充実しているとわかって、わりとスムーズに決まりましたね。
お試し住宅での「空気感」が決め手だった

――お試し住宅での体験について、もう少し詳しく教えてください。
上原さん: 設備も整っていて、ちゃんと「暮らす」イメージで過ごせるんですよ。エアコン・Wi-Fi・家電一式ついていて、1日1,100円(当時)ですし、気軽に試せるなと思いました。でも正直、設備よりも「人」が決め手でしたね。役場の担当者の方が本当によくしてくださって、近所のおじさんが声をかけてくれたり。「よそ者感」をまったく感じなかったのが印象的でした。子連れで飛び込んでも受け入れてもらえる安心感、それが津奈木町を選んだ一番の理由だったと思います。
「つなぎFARM」って何?農業経験ゼロからのスタート
――地域おこし協力隊として「つなぎFARM推進」を担当されていますが、どんな活動ですか?
上原さん: よく誤解されるんですが、「つなぎFARM」は特定の農場の名前ではないんです。津奈木町が2013年から取り組んでいる、農薬・肥料をなるべく使わない「環境配慮型農業」を推進するプロジェクト全体を指しています。農家さんと町が一体となって、少子高齢化・耕作放棄地・農業後継者不足という課題に向き合ってきた、10年以上の歴史あるプロジェクトです。私は、そのプロジェクトをさらに広く知ってもらい、販路を広げ、次世代につなぐ役割を担っています。
――農業経験はあったんですか?
上原さん: ゼロでした(笑)。最初は農業のことも土地のことも全然わからなくて、正直戸惑いましたね。でも、周りの農家さんたちが本当に丁寧に教えてくれるんです。自分でも土に入りながら少しずつ覚えていきました。

子どもたちと一緒に育てる「サラ玉プロジェクト」
――具体的にはどんな取り組みをされていますか?
上原さん: 一番印象深いのは、地元の小学校と連携した「サラ玉プロジェクト」です。津奈木町の名産、サラダ玉ねぎ(通称:サラ玉)を、子どもたちが植え付けから収穫、そしてネット販売まで一貫して担うという取り組みで。私はその伴走役として、子どもたちと一緒に動いていました。
――子どもたちの反応はいかがでしたか?
上原さん: それがもう、すごく生き生きしているんですよ。自分が育てたものを自分で売って、「売れた!」ってなったときの子どもたちの顔が本当に嬉しそうで。農業の楽しさと同時に、「自分の町の産物でこんなことができるんだ」という誇りも育っているように見えました。この仕事をしていて一番やりがいを感じる瞬間のひとつです。
東京からシェフを呼んで「青空食堂」を開いた日
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――食を使ったイベントもされていたと聞きました。
上原さん: そうなんです。活動1年目に「青空食堂」というイベントを開いたんですよ。自然栽培や有機栽培を実践しているイタリアンシェフを東京からお招きして、つなぎFARMの野菜をふんだんに使った料理をみんなで食べましょう、という会です。
――どんな場になりましたか?
上原さん: 夫が担当していた漁業プロジェクトとも連携して、「手作りちくわ」を一緒に作るワークショップもセットにしたんです。子どもからお年寄りまで、みんなで料理を作って、食べて。農業と漁業、加工と食卓がひとつの場につながるような、すごく豊かな時間でした。「つなぎFARMってこういうものなんだ」と参加した方々に実感してもらえた手応えがあって。それまで町内での認知が低かったプロジェクトを、"食"を通じて身近に感じてもらえたことが嬉しかったですね。
「青パパイヤ」の認知を広げる挑戦

――ほかにはどのような活動に取り組んでいましたか?
上原さん: 津奈木産の青パパイヤの認知度向上にも力を入れていました。まだあまり知られていない食材なので、地元のスーパーに専用コーナーを作ってもらって、手に取りやすい環境を整えたり、マルシェに出展したりと、「食べてみたい!」と思ってもらえる入口を増やすことを意識して動いていました。
――苦労したことは何でしたか?
上原さん: 農業経験のない自分が新しいことを提案しても、なかなかすぐには動きにくいこともありました。でも、一つひとつを地道に続けていくうちに、「つなぎFARMのイベントね」「あのお野菜ね」と分かってもらえるようになってきた。商品が売れたとき、子どもたちが自信を持って活動している姿を見るとき、そういう積み重ねの瞬間が「続けてよかった」と思わせてくれます。
任期中に第3子誕生。育児と仕事、両立できた理由

――協力隊の任期中に三男さんが生まれたと聞きました。仕事と育児の両立はいかがでしたか?
上原さん: そうなんです。任期中に出産して、約3ヶ月の産休を取ってから復帰しました。一番助かったのは、働き方の柔軟さです。上の子たちを朝9時前に学校に送り出してから動き始めて、夕方4時半〜5時にはお迎えに行けるようにスケジュールを組んでいました。農業系の仕事なので、日によって畑に行く時間もあれば、デスクワークの日もあって。その日の状況に合わせて調整できるのが、子育て中の私にはとてもありがたい環境でした。
――津奈木町での子育て環境はいかがでしょうか?
上原さん: 本当に子育てがしやすいです。まず自然が身近なので、子どもたちが外でのびのびと遊べる。都会から来た方が津奈木の保育園を見て「園庭があることに感動した」とおっしゃるんですよ(笑)。それと、地域の方々が子どもにもよく声をかけてくれて、野菜や果物のおすそ分けをいただいたり、ジビエをもらったり。「地域ぐるみで育てていただいている」という安心感が日常にあります。
「協力隊」ではなく「住民」として溶け込む
――地域の方々との関係はどうやって築いていきましたか?
上原さん: 意識したのは、「協力隊として来た人」ではなく「この町に住んでいる人」として関わることです。消防団にも入りましたし、地域の行事には積極的に参加しました。自己紹介するときも「地域おこし協力隊の上原です」ではなく「○○地区に住んでいる上原です」と言うようにして。
――その心がけで変わったことはありましたか?
上原さん: 自然と顔見知りが増えていきました。行事のたびに声をかけてもらえるようになって、「あの家の人やろ?」って言ってもらえるようになったのが嬉しかったですね。「田舎って排他的で入りにくいんじゃないか」という不安は最初は正直ゼロではなかったんですが、実際は全然そんなことなくて。よそから来た人に対してとてもオープンな土地柄だと感じています。
任期後の夢は「みんながふらっと来られる食堂みたいな場所」
――今後の展望を聞かせてください。
上原さん: 今、いくつか構想しているものがあって。ひとつは、空き家を活用した多世代交流拠点です。食堂みたいな感じで、誰でもふらっと立ち寄れる場所を作りたいんですよね。
――どんな場所を想像していますか?
上原さん: 「ここに来れば誰かがいる」という安心感があればいいなと思っていて。近所のおじいちゃん・おばあちゃんがお茶を飲みに来て、子育て中のお母さんが赤ちゃん連れで来て、地域の人に抱っこしてもらいながらほっとできる。学校帰りの子どもたちが宿題をしに来て、高齢者から昔の遊びを教わったりする——そんな場所です。キッチンも作って、つなぎFARMの野菜を使ったジャムを試作したり、加工品の開発もできるようにしたいと思っています。
「青空食堂」のイベントをやったとき、食を囲んで世代を超えた交流が生まれる場所の力を実感したんです。その感覚をもっと日常的に、ちゃんと根ざした形で作れたらいいなと。

――もうひとつの構想も聞かせてください。
上原さん: 旧赤崎小学校やモノレールを組み合わせた地域ツアーの企画です。アート・農業・自然・温泉と、津奈木にはほかにはない要素がたくさん詰まっていて、それを一度に体感できるコースを作りたいなと思っています。自分たちを受け入れてくれたこの町への恩返しを、任期が終わっても続けていきたいですね。
「まず来てみてください。津奈木の人の豊かさが、きっと伝わるはずです」

――最後に、移住や地域おこし協力隊に興味のある方へメッセージをお願いします。
上原さん: 一番伝えたいのは「人が豊かな町ですよ」ということです。物質的な豊かさとは別の、人と人のつながりの豊かさが、日常の中にずっとあります。排他的な雰囲気もなくて、来る人をちゃんと受け入れてくれる土地柄です。
移住って、情報だけ集めていても限界があるんですよ。まず来てみてほしいです。「つなぎ暮らしお試し住宅」で数日過ごすだけで、暮らしのリアルを体感できます。津奈木は唯一無二の魅力のある町だと本当に思っているので、ぜひ一度、自分の目と感覚で確かめてみてほしいです。

津奈木町への移住を考え始めたら
▼ まずは"お試し"から
つなぎ暮らしお試し住宅
https://www.town.tsunagi.lg.jp/teiju/page3257.html
設備・家電完備、Wi-Fi あり。1日1,500円 /原則 3〜30日間

▼ 移住支援金(最大100万円)をチェック
移住支援金制度のご案内
https://www.town.tsunagi.lg.jp/page4548.html
世帯(2人以上)100万円(子育て世帯一人につき100万円)、単身60万円
▼ 地域おこし協力隊・つなぎFARMについて
つなぎFARM 公式サイト:https://tsunagi-farm.jp/
津奈木町 地域おこし協力隊紹介:https://www.town.tsunagi.lg.jp/teiju/page4324.html





