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【前編】「人生の停泊所」に癒される。都市部との二拠点生活で伊豆・稲取を活性化

都心を離れ地方で暮らす方に、移住についてありのままを伺うシリーズ。

今回ご登場いただいたのは、2021年7月から東京・大阪と伊豆稲取での二拠点生活をスタートした高浜拓也さん。

大手電気メーカーに勤務する27歳の独身男性です。普段は大阪の実家で生活しながら働き、出張で東京や伊豆へ足を運んでいたそう。

前編では、稲取に第二の生活拠点を置くようになったきっかけや、生活の変化などについて伺います。

取材・文/河崎志乃(写真は高浜さん提供)

高浜拓也さん

伊豆稲取に第二の生活拠点を置いたきっかけを教えてください。

仕事でドローン配送のプロジェクトを手掛けていて、実験のために伊豆にはよく足を運んでいました。その度にあちこちの町に泊まりながらコワーキングスペースを探していて、稲取にある「East Dock」に出会ったんです。目の前に海が広がっていて、波と風の音を聞きながら仕事ができるシェアオフィスで、とても気に入りました。それから稲取にはよく行くようになり、2021年2月頃から住みたいと思うようになりました。

海が見えるシェアオフィス「East Dock」 

稲取の魅力は、小さな中に全てが詰まっているところ。町の展望台に行くと山から海まで全てを見渡すことができます。大阪や東京で暮らしていると、町が大きすぎて自分がその中に埋もれてしまっていると感じていましたが、稲取にいると町全体と自分が繋がっているような気がするんです。それに稲取はどの角度から見ても美しくて、一目惚れしてしまったんですね。2021年7月に別荘として稲取に部屋を借り、それ以来、週末や伊豆出張の前後は稲取で過ごすようになりました。

展望台からの眺め

二拠点生活を始めることに不安はありませんでしたか。

不安は全くありませんでした。仕事は元々リモートワーク中心でしたから支障はありませんでしたし、物件は「East Dock」を運営している荒武優希さんに紹介してもらいました。初期費用0円、家賃3万円で間取りは1LDK。築40年前後の古い物件ですが、目の前が海という絶好のロケーションで、お風呂からは温泉が出るんですよ。初期費用がかからないということもあって、とりあえず一度住んでみようという軽い気持ちでスタートしました。

目の前の海を眺めながらのんびりできる空間 

物件を紹介してくれた荒武さんは5年前から稲取に住んでいて、地域おこし協力隊のメンバーでもあり地域の方たちとも親交のある方です。ですので、荒武さんがいれば稲取に来ても孤独になることはないだろうと考えました。人との繋がりがあると思うと生活面の不安を感じることもなく、準備が大変ということもありませんでした。


二拠点生活を始めると決めたとき、周りの反応はどうでしたか。

 元々出張が多い生活でしたから、家族はそれほど驚いてはいませんでした。一方友人たちは驚いていたようですね。SNSで二拠点生活を報告すると「いいね」やいろんなコメントをくれて、たくさんの友人が稲取に遊びに来てくれました。数えてみると、今までに130人ほどの友人が稲取に来てくれています。東京から2時間半ほどで来られるので、旅行として来てくれる人、移住の下見で来る人などさまざまです。

その中で数人、稲取で生活を始めた友人がいます。仕事がフルリモートで東京の住まいを引き払って完全に稲取に拠点を移した人もいれば、月に数回の出社があるので東京の家を残したまま稲取にセカンドハウスを借りた人も。3人で一軒家を借りてシェアしているグループもいます。皆港の近くに住んでいるのでとても近く、シェアオフィスに集まって一緒に食事をすることもよくあります。

 

稲取に来て変化はありましたか。

 ストレスが軽減したというのがいちばん大きな変化です。仕事で煮詰まったらいったん港の堤防へ出て、潮風を受けながらぼーっと考えるということをよくするのですが、都会だとそんなことはできませんよね。僕の場合は、東京や大阪にいるときなら仕事中の気分転換というとせいぜいコンビニに行くくらい。それに比べて稲取は風が気持ちいいし夜は星空もきれいで、疲れた気持ちを癒してくれるものがたくさんあります。そんな中で、今までの人生でいちばん心地よい日々を送っていると感じています。

 

気心の知れた仲間とにぎやかな夕食の時間

プライベートな時間の過ごし方も変わりました。食事も以前は1人でとり、会社でも黙々と食べることがほとんどでしたが、稲取では「East Dock」の海が見えるシェアキッチンで移住仲間と一緒に食事をしています。週末は茅葺職人さんに茅葺屋根のつくり方を教わったり、自宅の屋根裏部屋の壁を漆喰で塗ったりと、いろいろなことをして過ごしています。友人はパラグライダースクールに通い始めて、毎週末飛んでいますよ。休日の楽しみ方がたくさんあるのもローカルの良いところですね。



稲取との二拠点生活を始めて、日々の生活が大きく変わったという高浜さん。

後編では、仲間たちと行っている稲取活性化のための活動について伺います。

 

後編はこちら


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