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【後編】「ここは人間に還る場所」私が長崎県・五島列島で“仕事”を始めたわけ鈴木さんが五島で「子連れワーケーション」や宿泊施設の設計などを手掛ける理由とは?

さまざまな地方での暮らしについて“ありのまま”を伺うインタビューシリーズ。今回ご登場いただくのは、長崎県・五島列島に惹かれ、東京都と月1回のペースで行き来しているという鈴木円香(すずき・まどか)さん。 

鈴木さんは編集者、メディアプロデューサー、地方創生プロデューサーなどと多くの肩書を持ち、各所で活躍されています。そして、東京で仕事を続けながら、「一般社団法人みつめる旅」の代表理事として、五島でのワーケーション事業や関係人口創出プロジェクトなどにも精力的に取り組んでいます。

【前編】に続き、鈴木さんが五島でのプロジェクトを通し感じたことや、「子連れワーケーション」等についてお話を伺いました。

 文/田代祐子

撮影:廣瀬健司

ゆったり流れる島時間で「人間に還る」ことができた

 ――様々な体験から社団法人「みつめる旅」の設立に繋がっていったのですね。HPにあるキャッチコピー、「人間が人間に還る場所」という言葉が印象的でした。

鈴木円香さん(鈴木さん/以下同じ):ありがとうございます。五島に滞在しているときに、1週間ほど海辺のバンガローを1棟借りて、そこで毎朝、朝焼けの中を泳いで、朝ごはんを作って食べ、仕事をして、夕方涼しくなってきたぐらいにまた夕焼けの中の海を泳いで、晩ご飯を作って寝る、といった生活を1週間ほどしたことがあるんです。自分がものすごく満たされたんですね。

そのときに、そうだこれをやりたかったんだと思って。このコピーが、最初にすっと降りてきたんです。ゆったりとした時間を過ごすことで、「人生でいちばん大切にしたいこと」が見えてくると思うんです。 

それが特に、この豊かな自然と、潜伏キリシタンをめぐる過酷な歴史が交差する五島という土地だと叶うのかなと感じています。

撮影:廣瀬健司


――五島で展開しているお仕事について詳しくお聞かせください。

 鈴木さん:五島での「仕事」って私にとっては、いわゆる「仕事」ではないんですね。金銭的な報酬はほとんどなくても、こうして五島と関わって、人との繋がりが膨らんでいくこと自体がかけがえのない報酬になっています。

前編でも触れましたが、2018年5月10日の「五島の日」に出版したフォトブック『みつめる旅』をきっかけに、さまざまなご縁をいただくことができました。2019年には「Business Insider Japan」主催で「リモートワーク実証実験」を行って、募集の5倍ほどの応募があり、枠を倍に広げて50名ほどの方に参加いただきました。

これがワーケーション事業へと繋がっていくのですが、このとき事務局を担当した人や“五島が好き”という共通項でつながった仲間と私を含めて4人で、2019年7月に「一般社団法人みつめる旅」を設立しました。

「子連れワーケーション」を実践。子どもの順応性に驚き!

 ――鈴木さん以外の方は、五島に住んでいるのですか?

鈴木さん:いえ、みんなそれぞれ東京で本業があって。副業という形で携わっています。経営コンサルタント、IT企業勤務、広報・PR、そして私がメディアの人間と4人がまったく違う専門性を持って活動している集団です。五島で行っているのは、まずワーケーションの企画運営で、五島市からの委託事業として、夏以外の観光の閑散期に開催する地域課題解決型イベントの企画や運営を担っています。

それからレジデンス事業として、海辺の秘境集落に廃校舎を改修した宿泊施設「めぐりめぐらす」を作りました。

<宿泊施設「めぐりめぐらす」外観>撮影:廣瀬健司


波が寄せては引くたびに丸石がコロコロと転がる心地よい音を楽しめ、私もお気に入りの場所なんです。内省の場所として、日常とは違う時間の流れのなかでの仕事場として、また地域の人との交流の場として、自分にあった使い方をおすすめしています。

そのほかにもいろいろ携わっていますが、世界最先端の知を五島に持ってくる「五島、ひと夏の大学」というこの夏に開催するプロジェクトも進行中です。


――鈴木さん自身、お子さんを連れて「子連れワーケーション」を実践されたと伺っています。

鈴木さん:はい。昼間仕事をしている間、娘の居場所をどうするか問題については早くから考えていました。ワーケーション企画にもお子さんを連れてくる方が結構多くて、地元の保育園や小学校と提携したり、民間事業者に子どもキャンプを開いてもらったり、すべてのイベントで子どもの受け入れがついてくるようにしました。

保育園は1日2000~3000円ほどの一時利用、小学校は体験入学を利用して、地元の子どもたちと過ごしてもらうイメージです。初日は行くまで渋っている子もいますが、子どもって順応性がすごくて。

すぐに仲良くなって、満面の笑みで帰ってくる姿に感動している方も多かったんです。学校のほうも歓迎会を開いてくれたり、帰りは寄せ書きやお手紙を書いてくれたり、こんなに愛される経験はなかなかないんじゃないかというくらいでした。 

島の人たちも移住者を増やしたいという気持ちもあるし、高齢化率も高くなっているので、子どもがいるありがたみというものがすごくあるようです。

世代や背景を超えた友人が増えた。“結びつき”が強い場所

 ――鈴木さんが今後実現させたいことはありますか?

鈴木さん:写真集を手掛けてから、10個くらいのプロジェクトに携わっていますが、改めて五島にはポテンシャルが多いなと感じます。白いキャンバスを渡された感じで、いろいろやれてしまうのはおもしろいですね。

五島と深く関わって以来、世代もバックグラウンドもまったく関係ない友達がすごく増えたんです。“五島が好き”という気持ちが根底にあるので、結びつきが強く、みんな仲がいいんです。その仲間で、「また東京でも仕事をしよう」となったり。そういう意味でも五島は豊かにしてくれる場所だと感じます。

<宿泊施設「めぐりめぐらす」内装>撮影:廣瀬健司


ただ最近、少しプロジェクトをやりすぎているかなと思っていて(笑)。この土地が大好きなのですが、五島にいるときはいつも忙しいんですよね。なので、ゆっくりと五島の自然を楽しむことをしたいです。とにかく海が最高なので、海に潜って癒されたいです。そして、食材がおいしいので、料理をしたり、地域の人とゆっくり飲み食いをしたりしたいですね。

ゆくゆくは、人生の最後まで住めるような土地をみつけ家を建て、子育てが終わったら、東京と五島を3カ月ごとに行き来するような生活をしたいです。


――最後に、五島に興味がある読者にメッセージをお願いします!

鈴木さん:いつもと違う人や言葉に触れて、「非日常」で五感を満たす体験をしてみると、今までと感じることや考えることが不思議と変わっていくんですよね。もし、人生に迷ったり、疲れたり、何かを見つめ直したくなったら、一度五島に来てほしいです!

前編はこちら)


鈴木円香さんプロフィール

出版社の編集者、WEBメディアの編集長を経て、一般社団法人みつめる旅を設立。長崎県・五島列島を中心にワーケーション事業や地方創生事業等を手掛ける。

●みつめる旅:https://mitsutabi.jp/

長崎県五島市ってどんな街?

5年間で1,000人超の移住者を受け入れている離島、五島列島・五島市。移住者の7割以上が30代までの若者世代で、移住者の定着率は8割という人気の島。古い歴史や文化にも恵まれ、新しい事業や雇用が生まれ続けています。「よかったい」精神の、おおらかで開放的な島民性も魅力。

◆五島市情報ページ

https://tabisumu.jp/municipality/NAGASAKI/goto

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